私たちの体には、神経が密集している箇所(つぼ)が至る所にあります。
その中でも手と足には、全身のあらゆる部位に対応するつぼが密集しています。
そのため、自分がだるい、重いと感じる部位に対応するつぼを押せば、だるさや重さがやわらぐことが期待できます。
例えば胃の調子が悪い時に、手にある「胃のつぼ」を刺激することで、胃の不調を和らげる効果が期待できるのです。
今回は、そんな手と足の数あるつぼの中から、足がだるい、重いと感じる時に押すと効き目があるとされるつぼとそのつぼの最適な押し方を厳選して9つご紹介いたします。
ツボを押すとなぜ足の不調の改善が期待できるの?
「ツボ押しで本当に足のだるさや重さが解消されるの?」と疑問に思う方も多いと思います。
手のある箇所を押すだけで、遠く離れた足の不調がなぜ改善するのか?
手のツボと足がどのように関係しているのかがあまり知られていないため、そのような疑問が生じてしまうのです。
ツボはそもそも、私たちの体の中に無数に通っている神経が集中している箇所のことをいいます。
私たちが意識せずに心臓や呼吸、血管の収縮など体の機能を保っていられるのは、脳の視床下部によってそれらが365日、24時間管理、コントロールされているからです。
脳の視床下部は各臓器などにつながる神経に電気信号を流し、休むことなく司令を出し続けています。
そのため、この神経が集中するツボには電気信号が集中し、その流れが滞ってしまうことがよくあります。
ツボ押しは、この滞っている電気信号の流れをスムーズにする働きと、逆に神経を刺激することで、脳の視床下部を刺激し、そのツボに関連する臓器に電気信号を送らせることができます。
これにより、各臓器の不調が改善するという訳なのです。
具体的には次の1〜4のようなメカニズムで、ツボ押しにより体の各部位の不調が改善していきます。
ツボ押しが体の不調を改善するメカニズム
- 各部位に関連するツボを刺激する
- 刺激が脊髄や中枢神経を通じて脳の視床下部を刺激する
- 視床下部からツボと関係のある各部位に電気信号が流れる
- ツボと関連のある臓器などの働きが調整され、体の不調が改善する
このように、ツボ押しはれっきとした東洋医学に基づいた学術的な治療法なのです。
ツボ押しマッサージを行う際に守るべきポイントとは?
ツボ押しは薬などと違って副作用が全くないため、いつでもどこでも、誰にでもできる治療法であるというメリットがあります。
しかし、より効果的なツボ押しマッサージを行うためには、次のようなポイントを守る必要があります。ぜひ下記「ツボ押しマッサージで守るべき注意点」を遵守した上で、ツボ押しを実践してみてください。
ツボ押しマッサージで守るべき注意点
- 手のマッサージは朝に行う
- 1日1回10分(手に10分)を目安に行う
- 力を加える順番は「心臓に遠い箇所から心臓に近い場所へ」
- 右半身のトラブルは右手、左半身のトラブルは左手
- 基本的な刺激方法は親指でのプッシュ
- 「38℃以上の熱がある方」「極端に疲れている方」「手足にできものや出血がある方」「怪我や骨折がある方」「妊娠中の方」「重度のアレルギーがある方」「不整脈が見られる方」「ホルモン剤を長期に渡って服用している方」はツボ押しマッサージは行なってはいけない。
足がだるい、重いと感じた時に効く!おすすめの足ツボマッサージ7選!
足がだるい、重いと感じる原因は病気や、怪我など様々ですが、そのほとんどが足の「血行不良」が原因で起こります。
足の血行不良は筋肉のコリによって血管が圧迫されることによって起こりますが、その筋肉のコリは「疲労」や「長時間の同じ姿勢」「筋力不足」などによって起こります。
そのため、疲労物質をはじめとする老廃物の排出を促してくれるツボや、血行や代謝をよくしてくれるツボ、を押すと効果的です。
ここでは、そんな足のだるさと重さを重点的に解消する7つのツボ押しマッサージをご紹介いたします。
「疲れ」に関連するツボ
私たちが普段手や足や様々な部位に「疲労」を感じるのは、活動によって徐々に疲労物質が溜まってくるからです。
通常であれば、これは睡眠や休息によって、自然と体内で分解され排出されます。この疲労物質の分解を担っているのが、肝臓です。
肝臓と言えば「アルコールを分解してくれる」という働きが有名ですが、それ以外にも私たちの疲労を回復し、精力的に日々活動していくために次のような働きをしています。
- 疲労物質をはじめとする体内の老廃物の分解・解毒(アルコールもこの中に含まれます)
- 腸から吸収した栄養素を溜め込み、体内で使いやすい形に変えて供給
そのため、肝臓の調子が悪くなると、疲労物質がうまく分解、排出されず溜まっていってしまいます。
また、体内への栄養素の供給も滞ってしまうため、寝ても寝ても疲れが取れない「慢性疲労」につながってしまいます。
この「疲れ」に関連するツボを押すことで、そんな「疲れ」と関係が深い、肝臓や胆のう(栄養素を溜め込む場所)の調子を整えます。
結果として、疲労物質をはじめとする老廃物をしっかりと排出、さらにはエネルギーの供給もされるようになり、疲労回復しやすい体に変化していくことが期待できます。
これにより足の疲労物質も効率的に分解、排出されます。結果的に、今まで疲労によって生じやすくなっていたコリが解消され、血行がよくなり、足のだるさの解消へとつながります。
<「疲れ」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表1、「疲れ」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「気持ち良い」程度に押す
手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右1分、左1分程度 手の平側は右1分、左1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は夕方と寝る前 手の平側は夕方と寝る前 |
ツボの押し方 | <手の平側> 肝臓のツボ:片方の親指の先で指圧する その他:片方の親指の腹で指圧する <手の甲側> 頭のツボ:片方の親指の先で指圧する 太陽神経叢:片方の親指の先で指圧する 精神神経:片方の親指の先で指圧する |
「だるさ」に関連するツボ
足の血行不良を招くのは、筋肉のコリだけが原因ではありません。
ストレスなどが原因で起こる自律神経の乱れや、過剰なダイエットや、生理によって引き起こされる鉄分不足や貧血、また低血圧なども足の血行不良を招き、だるさや重さにつながる大きな原因です。
そんな時におすすめなのが、「腎臓」や「副腎」「甲状腺」に関連するツボです。
これらを刺激することで、血行を良くするだけではなく、体に溜まった老廃物の排出を促して、これまで老廃物によって圧迫され悪化していた血行を良くする効果が期待できます。
<「だるさ」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表2、「だるさ」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「抑える」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右1分、左1分程度 手の平側は右1分、左1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は寝る前 手の平側はだるさを感じた時 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の先で指圧する <手の甲側> 頭のツボ:片方の親指の先で指圧する 太陽神経叢:片方の親指の先で指圧する 精神神経:片方の親指の先で指圧する |
「低血圧」に関連するツボ
低血圧の方は、心臓から全身に血液を送り出す力が弱いため、足の血行が悪くなりやすく、足がだるい、重いと感じてしまいやすい傾向があります。
この低血圧を改善するためには、「腎臓」や「首」「甲状腺」「横隔膜」に関するツボを押すことが有効です。
このツボをしっかりと揉みほぐすことで、足の血液の循環を良くし、結果的に足のだるさや重さを改善することにつながります。
<「低血圧」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表3、「低血圧」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「気持ち良い」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右30秒、左30秒程度 手の平側は右1分、左1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は朝 手の平側は朝 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の腹で指圧する <手の甲側> 片方の親指の先で指圧する |
「腎臓」に関連するツボ
腎臓は、血液中の老廃物を尿として排出する働き、そして体内の水分量を調整し、血圧を一定に保つという私たちが生きる上で大切な役割を担っている臓器です。
そのため、この臓器の調子が悪くなると、血圧を一定に保てなくなり高血圧や動脈硬化などを引き起こします。
結果的に足のだるさ、や重さなどにつながってきてしまいます。
このように血液の循環に大きく関わっている臓器のため、ツボ押しによってしっかりと調子を整えておく必要があります。
腎臓の調子を整えるツボとしては「腎臓」や「膀胱」「副腎」「生殖器」「頭」に関するツボが効果的です。
<「腎臓」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表4、「腎臓」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「ちょっと痛い」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右30秒、左30秒程度 手の平側は右1分、左1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は朝 手の平側は朝 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の腹で指圧する <手の甲側> 片方の親指の先で指圧する |
ツボ押しの注意点 | 食後すぐには行わないように気をつける |
「肝臓」に関連するツボ
先ほどもご説明した通り、肝臓は私たちの疲労回復やエネルギー供給におおきく関わる臓器です。
しかし、飲み過ぎなどによって肝臓は不調になりやすく、もしみなさんが今寝ても寝ても疲れが取れないという「慢性疲労」の状態であれば、その原因は肝臓にあるかもしれません。
肝臓の不調を改善するためには、「消化器」「肝臓」「胆のう」に関連するツボが効果的です。
これをしっかりと押すことで、疲労物質をしっかりと分解し、エネルギー供給をスムーズに行えるようになり、足のだるさ、重さの解消につながります。
<「肝臓」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表5、「肝臓」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「気持ちいい」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右30秒、左30秒程度 手の平側は右1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は朝 手の平側は朝 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の腹で指圧する <手の甲側> 片方の親指の先で指圧する |
ツボ押しの注意点 | 消化器のツボは右手のみ揉む |
「むくみ」に関連するツボ
足のむくみは、老廃物が足に溜まり、それに圧迫された水分が血管から浸み出すことによって起こります。
むくむことで足のだるさや重さに繋がってきてしまいます。
しかし、本来この老廃物を排出する役割を担っている腎臓がしっかりと働いていればむくみは起こりにくくなります。
そのため、腎臓の調子を整えるツボを押すことで、むくみの解消に繋がります。具体的には「肝臓」や「耳・生殖器」「腎臓」「消化器」「副腎」「膀胱」「腰部」「生殖器」といったツボを押すのが効果的です。
このツボ押しと合わせて行っていただきたいのがウォーキングです。
足のふくらはぎの筋肉は動くことによって膨張と収縮を繰り返し、血液とリンパ液の循環をサポートするポンプの役割を担っています。
このツボ押しで腎臓の働きを調整するだけではなく、血液とリンパ液をしっかり循環させることでより老廃物が溜まりにくくなります。
結果的に足のだるさや重さの解消に繋がってきます。
<「むくみ」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表6、「むくみ」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「気持ちいい」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右30秒、左30秒程度 手の平側は右1分30秒、左1分30秒程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は朝 手の平側は朝 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の先で指圧する <手の甲側> 片方の親指の腹で指圧する |
「冷え性」に関連するツボ
足の冷えは血行不良によって、足の先端の血管まで血液が届かないことによって起こります。
それが冷えとなり、足のだるさ、重さにつながってきます。
冷え性を改善するためには、血行を良くするだけではなく自律神経に働きかけて体温を上げるように働きかけるツボを押す必要があります。
具体的には、「親指全体」「甲状腺」「副腎」「頭」「精神神経」などのツボが効果的です。
これらをしっかりともみほぐすことで体全体の体温を上げるだけではなく、冷えが解消され、結果的に足のだるさ、重さの解消につながることが期待できます。
<「冷え性」に関連するつぼマッサージのインフォグラフィック>
表7、「冷え性」に関連するツボマッサージの具体的な方法
ツボを押す力加減 | 手の甲側は「ちょっと痛い」程度に押す 手の平側は「ちょっと痛い」程度に押す |
ツボを押す時間 | 手の甲側は右30秒、左30秒程度 手の平側は右1分、左1分程度 |
ツボを押す時間帯 | 手の甲側は朝 手の平側は朝 |
ツボの押し方 | <手の平側> 片方の親指の腹で指圧する <手の甲側> 片方の親指の腹で指圧する |
まとめ
いかがでしたか?
足がだるさや重さは、今回ご紹介したツボを揉むだけで解消することが期待できます。
手のツボなので、いつでもどこでもマッサージをすることができます。
もし足のだるさや重さに悩まされている方は、ぜひ毎日1回、手のマッサージを習慣づけてみてください。